Francine Poulet Meets the Ghost Raccoon

わたしは小学校低学年向きの児童書は極力読まないようにしています。The John Newbery Medalのように歴史ある賞を取る作品は、大人でも十分読み応えがあることは知っています。

でも、大人は自分の精神年齢に合った本を読むのが好ましいと思っているので。しかし、SSS多読通信で折角アドバイスして頂いたのに食わず嫌いというのも良くないと思って、「今号のお薦め本」の1冊を読むことにしました。

Francine Poulet Meets the Ghost Raccoonの対象読者年齢は6~9歳なので、自分にとっては「極力読まない本」ですが、Amazonカスタマーレビューでは非常に高評価です(星5つ中の4.8)。

Francine Pouletは数々のトロフィー受賞歴を持つ動物管理局員です。ある日Francineは、Mrs. Bissingerの家の屋根に居座っているアライグマを何とかして欲しいという依頼を受けます。早速、梯子と捕獲網を持参でMrs. Bissinger宅に向かいましたが、凶暴なアライグマに恐怖を覚え、動物と共に屋根から落ちて入院することになってしまいました。初めての捕獲失敗で自信を失ったFrancineは、再び自分を取り戻すことができるでしょうか?総語数5,892語、YL3.0~3.5、ATOS Book Levelは3.8です。

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《気になった表現》
ring up: レジに打つ
I'm on it: 今やってます
at this juncture: 現時点で
hail from: ~の出身である
Be that as it may: いずれにせよ
give oneself over to: 熱中する、ふける
break someone of: 悪習慣をやめさせる
under the auspices: ~の援助で、後援で
none of your beeswax: お前には関係ない、大きなお世話だ

Mrs. BissingerがFrancineに最初に会った時、「How do you do?」と言っています。いくつかのウェブサイトには、これは古風な表現で死語に近く、こんな言葉を載せている教科書は時代遅れだとか、学校英語を批判していたりします。ところが、本書ではこの表現が使われていました。もしかして非常に古い本なのかなと思って調べてみたら、2015年の出版でした。比較的最近ですね。挿絵を見る限り、Mrs. Bissingerは多くのアクセサリーを身につけている裕福な女性で、決して65歳過ぎには見えません。

The Donor(臓器提供者)

臓器を提供する者は、living donors(生体ドナー)とcadaveric donors(死体ドナー)に大別できます。いずれの場合も、提供者の匿名性を守るようにしています。腎臓のように体内に2つ存在する臓器は生存中の近親者が提供することもできますが、心臓提供者は死体に限られます。

匿名性の厳守が原則ですが、心臓を提供してくれた人の家族に会ってひと言お礼を言うのは決して悪いことではないだろうと私は思っていました。むしろ、その方が誰かを失って悲しみに暮れる家族にとっても、臓器提供を受けた人にとっても、良いことではないか?

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今回私が読んだQuick Readsシリーズの「The Donor」では、匿名性の原則を遵守しなかったことによって起こった事件を描いています。この本は非常に面白かった。この半年で読んだ本の中でも最高の1冊と言えるでしょう(総語数21831)。

本書では、長期抗がん剤投与で心臓が弱ってしまったMegan Thomasが主人公です。Megは病弱で学校にもろくに通えなかったのですが、14歳で心臓移植を受け、手術から回復後に地方新聞記者のインタビューを受けました。

その記事を見て、心臓提供者Jakeの母親Karen EdwardsがMegに会いたいと手紙に書いてきたのです。Megの母親Lizzieは最初は戸惑いましたが、Megの意思を尊重し、匿名性の原則に背いてKarenに会うことにしました。ところが・・・

この本の著者Clare Mackintoshは、作家になる前は警察官という珍しい経歴の持ち主で、彼女の作品は35以上の言語で出版されているそうです。確かに彼女の作品はそれだけの価値があると思います。

ちなみに、Amazonで「The Donor」のペーパーバックを買うと新品で166円です(笑)。Quick Reads本をイギリスで買うと1ポンドです。ほんと、安いわ~。こんなに面白くてお財布にもやさしいのに、Quick Readsシリーズは多読愛好家(タドキスト)に人気が無い。なぜでしょうか?


現実問題として、最近は臓器提供者の匿名性を守ることが困難になっているようです。患者がソーシャルメディアで情報を発信すると、手術日や病院名がすぐ分かってしまいますから。移植の優先順位のほかにも、新型コロナウイルスに対するワクチン接種の優先順位など、医療倫理というのは興味深いテーマです。

先月、日本で生体肺移植が行われました。患者は、新型コロナウイルス感染の後遺症で重篤な肺障害が残った女性です。その女性に肺の一部を提供したのは、患者の夫と息子です。


《気になった表現》
extractor fan: 換気扇
in convoy: 一団となって
come to: 合計で~になる
scrape by: なんとか暮らしている
stab vest: 警官が着る防刃ベスト
shoot down: こき下ろす、論破する
retail park: 大型ショッピングセンター
cash-and-carry: 現金払いで配達なし
back the wrong horse: 見込み違いをする
keep one's nose clean: きちんとふるまう、品行を慎む
get the wrong end of the stick: 誤解する、勘違いする
out of one's mind: 頭がどうかしている、正気を失っている
within striking distance: 拳で殴れる範囲内に、すぐ近くに
As if on cue: まさにその時に、まるで合図でもあったかのように
Earth to someone: ぼんやりしている人に注意を促すときに使う
get a bee in one's bonnet: 頭がどうかしている、とりつかれている