金曜夜クラス 理解度、3割!

もし、皆さんが多読講座の講師で、Stephen Kingの「Carrie」を読んだ生徒さんが「理解度3割くらい」と言ったら、どのように指導しますか?

1. 理解度なんか気にせず、好きな本をドンドン読みなさい♪
2. もっとやさしい本を勧める

まさかとは思いますが、「1」と答えた人はいませんよね。そんな人がいたら、英和辞典で顔面を滅多打ちして鼻の骨をへし折りますよ。

その生徒「Yさん」は、講座に通ってまだ半年足らずだそうです。以前に「Carrie」の邦訳版を読んだことがあるそうですが、それでも理解度3割くらいなら、英文理解度は非常に低いと思います。

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Day and Bamford (2002) Top ten principles for teaching extensive reading
Reading in a Foreign Language 14, pp. 136-141.

以前に何度も紹介しましたが、世界標準といえる多読の原則は、2002年にRichard Day & Julian Bamfordが発表した「Top ten principles for teaching extensive reading」です。その第1項目を引用すると

1. The reading material is easy.
This clearly separates extensive reading from other approaches to teaching foreign language reading. For extensive reading to be possible and for it to have the desired results, texts must be well within the learners' reading competence in the foreign language.


「1. 読み物はやさしい」 を見れば一目瞭然ですが、理解度3割なんて、藻、喪、問題外です。そんなのは多読ではありません。それは「すべり読み」または「妄想読み」でしょう。ところが、そのクラスの担当者は、「理解度なんてものは、あとから必ずついてくるでしょう」と書いています。マジで?

多読インストラクターには特別な資格は要りませんから、指導力もピンからキリまでです。それにしても酷いなぁ。そんな講座にお金を払っているYさんが本当に気の毒です。


Yさんの語彙力がどの程度か知りませんが、もし、どーしてもスティーブン・キングの本が読みたいと主張するなら、私はPenguin Readers Level 6の「Misery」を勧めます。原作は総語数110,565語の長編小説ですが、Penguin Readersの簡略版なら27,217語ですし、3000 word familiesの語彙力があれば全単語98%が分かるはずです。

ただし、私が推測するには、Penguin Readers Level 6の「Misery」でも難しいと感じるでしょう。私はYさんに会ったこともないし、自分勝手な推測ですが、Level 6が簡単だと思える人はそんなに多くはないと思います。


蛇足
スティーブン・キングは「ホラーの帝王」と言われるぐらいで、確かに人気作品も多いです。しかし、彼の作品は全般的に長くて語彙が難しいです。避けた方が無難です。私は彼の長編小説を十分理解して最後まで読む自信がありません。Stephen Kingの語彙難易度は、英検1級と同等かそれ以上です。そんなに難しい本を無理して読むのはやめようよ、、、

《追記》
多読初心者の中には、J.K.ローリングやスティーブン・キングの本が読みたいと言う人が結構います。でもね、語彙難易度がもっと低くて十分満足できる本が星の数ほど存在します。私はこのような大御所の本は一生読めなくても構いません。そんなに難しい本をスラスラ読めるほど、私の英語力は高くないです。自分にはColleen Hoover、Danielle Steel、Karen Kingsburyの作品が合っています。高望みせず、この3人の本を読みましょう。

この3人の本を読んで「やさしすぎてバカバカしくてマジで全然物足りません」と思った人は、Stephen Kingの長編小説を買ってください。

《追記2》
英語多読アカデミアに「英語に触れているのに伸びない!」というブログ記事がありました。ここでは「8割以上理解した上で授業に参加できるよう」指導しているそうです。良いスクールですね。赤字をクリックして読んでください。「理解度、3割!」とは全然違います。


『追記3』
自分が指導している生徒が「理解度3割くらい」と言ったら、その指導者は恥ずべきではないでしょうか。公立・私立を問わず、英数科目を問わず、予備校・義務教育を問わず、自分が指導している生徒が「理解度3割」と言えば、

半分はその生徒の努力不足ですが、
半分は教師・指導者の力量不足だと反省すべきだと思うのですが。

それを、「感嘆符!」をつけてブログ記事する、その神経が全く理解できません。「私の指導力はこの程度です」と曝露しているようなものです。多読の効果を宣伝するとき、「以前は読めなかった洋書が読めるようになった」という表現を使うことが多いです。しかし、「理解度3割でも読めた」ことにするなら、その効果は「雑な読み方に慣れてしまった」だけかもしれません。「すべり読み」や「妄想読み」という事例は結構多いのかも。

桐島、ブログやめるってよ

わたしが当ブログを始めてから、かれこれ40年になります。1984年といえば、イギリス人作家George Orwellのディストピア小説ですね。私はオリジナル(原書)を読んだことはありませんが、Penguin Readers Level 4の簡約版を詠みました。

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ


和歌を詠んでいる場合じゃないですね。ブログを始めて4年が経ったという話です。振り返ってみて、人間的にも英語的にも成長が見られません。競泳の池江璃花子さんと比べると、本当にくだらない人生を送ってしまいました。

そろそろ潮時、店じまいしようかなー。

ネタはいくらでもあるのですが、読者がいません(涙)。今、自分のパソコンの「多読」フォルダをみたら、英語の多読論文PDFが400以上ありました。最も古いのは1978年の報告です。よく集めましたね。自分でも感心します。全文隅から隅まで読んだわけではありませんが、AbstractとTables and Figuresくらいは目を通しています。

ほんと、時間の無駄でした。大学に行って真面目に勉強したら、自分の人生が変わっていたと思います。そんな情熱も能力もお金も無かったけど。

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昨年末から英検の受験勉強に取り組んで、多読に対する興味が失せてしまいました。図書館や自宅に未読本が沢山あるのですが、TOEICや英検の対策をしている方が自分の英語力がアップしますからね。それを考えると、以前のように漫然と本を読む気になれません。

やさしい洋書を多読すれば確かに「楽」ですし、英検対策は非常に「辛」いです。マジで鬱になるほど辛いです。でも、もう少し自分の英語力を高めたいという欲があるのです。ですから、あと数ヵ月ほど頑張ってみます。わざわざ12,500円も払って英検を再度受験するつもりはありませんが、7月7日まで努力したいと思います。

でも、その後はどうするの?

今年一杯なら英検対策も面白いと思いますし、学ぶべきことが沢山あります。英文要約の対策本も7月頃に出版されるようですし。でも、来年もそれを続けるのは流石にキツイなー。

不合格を経験しても、それを乗り越えて努力して頑張って、晴れて合格証書を手にした人は「これからは好きな洋画や洋書を楽しもう♪」という未来があります。一方、中途半端にギリギリ滑り込んだ私は「何かモヤモヤ」したまま迷走を続けることになりました。自分は何をやっても中途半端です。